四国は和三盆糖の本場。古くから阿讃山脈を挟んだ南麓の徳島と北麓の香川で作られています。
和三盆糖は、「竹糖(ちくとう)」という細いサトウキビが原材料。
春先に植え付けされた竹糖は夏から秋にかけて成長し、甘みを蓄えていきます。
冬が訪れる頃には大人の背丈の2倍近くまで大きく育ち、根っこから引っこ抜いて収穫されます。
そして、寒い空の下で一本一本手作業で皮を剥ぎ、製糖所へと運び込まれます。この重労働の担い手の中心は60〜70代の農家の人たち。「一時期はグンと減っていた生産者も、この頃少し増えてきたんですよ」と話してくれたのは、岡田製糖所の岡田和廣さん。現在、上板町周辺では45軒ほどの農家の方が竹糖を育ているそうです。

収穫され皮を剥いだ竹糖を農家の方が運び込んできました
製糖所へと運び込まれたたくさんの竹糖は、まず締め場で搾汁します。
搾汁した液は「荒釜」と呼ばれる大きな釜で煮立てます。
搾汁されたばかりの液はたくさんの灰汁を含んでいるため、職人がつきっきりで丁寧に灰汁をすくいとっていきます。
灰汁抜きした煮汁をさらに煮詰め粘りを出し、冷やしカメへとうつしゆっくりと冷やしていきます。
こうしてできた「白下糖」は、まだたっぷりと蜜を含んでいて茶色い状態。
白下糖はしばらく寝かした後、麻と木綿の布で包んで箱の中に入れて石の重しをかけます。
この状態で丸一日置き、糖蜜分を抜いていきます。

窯場で灰汁抜きされた煮汁
重しで糖蜜を抜いたあとはいよいよ「研ぎ」と呼ばれる行程へ。
研ぎはいわゆる精製の作業。研ぎ槽の上で熟練の職人が水と手で研ぐことで、糖蜜を抜いていきます。
「和三盆糖」の由来はこの研ぎの作業を3回繰り返していたためその名が付いたと言われています。現在ではより白い物が好まれるため、4〜5回研ぎの作業が繰り返されます。こうして手作業で精製されたものをふるいにかけて乾燥し、ようやく白い和三盆糖が完成します。
このように、畑から製糖までたくさんの人の手によってつくられた和三盆糖。
イルローザでは大地の恵みと職人の手技に感謝し、やわらかく上品な甘さをいかしたお菓子をつくっています。

熟練の職人が手作業で研いで精製していきます